雨の日の散歩は大変だ。梅雨時はどうしても雨の日が多い。 特に朝のどしゃぶりの雨の時は、合羽を着るのをいやがって逃げる。つかまえても、座ったままで立ち上がらず、合羽を着ようとしない事が多い。 なんとか合羽を着せて、戸外に出ると覚悟を決めて歩き出すが、九歳近くなって、体力が落ちたせいか、合羽の圧迫感で歩きにくいせいか、散歩を早めに切り上げて、帰ってくる事が多くなってきた。 合羽をぬぐと、開放感からか絨毯の上で四本の足を上げてゴロゴロやる。その姿はとても楽しそうだ。 又、散歩の途中で雨が降ってくると、合羽を着ていないので、リードを自分で銜えて、まっしぐらに家に走るので、こちらはついていくだけで、息切れしてしまう。 今日もどしゃぶりの雨なのに、吉兵衛が合羽を着たくないと抵抗したので、女房は散歩に連れて行かず外出してしまった。私がのんびり横になっていたら、雨がやんだから、散歩に連れていけと言いに来た。外に手を出してみると、不思議にいつも雨がやんでいる。雨音を聞いているのか、止んだのが分かるらしい。「ウンチが出るから早くしろ」と私の前に座って動かない。私はその姿に有無を言わせない気迫を感じて、しぶしぶ立ち上がり散歩に出かけるはめになった。 吉兵衛は万事女房と一緒で、マイペースで、自分の好きなように生きている自立心の強い我がままな犬だ。そんな吉兵衛に振り回されるのも、結構楽しんでいる私だ。 |